塵書き

日記とか詩とか、言葉の落書きとか。思うままに。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

短編「囁き」

「命を可視化するなら人生は一冊の本に収まるか?」 僕の隣に佇む幽霊が、いつもそう問いかける。 こいつは見えない。 周りはこいつの存在に気づいていないようだし、俺には見えるそいつは、地面から明らかに浮いている。俺も見えないフリをしていれば、その…

秋の夜長に、酸素で充ちた肺を潰す

冷たく心地良い風というものは自ずから得に行くものではなく、心が満たされる瞬間に迎え入れてくれる世界の有り様だ。 秋の夜長は、誰をも等しくその心地良さを齎す。 明日晴れるとふと憂いた少年の背中に、秋は本当に欲しいものを与え続ける。 フローリング…