塵書き

日記とか詩とか、言葉の落書きとか。思うままに。

"費やす"という快楽

競馬に12000円を賭け、11800円が返ってきたなんともいえない気持ちの昼下がり。 ふと自分の必需品が足りなかったことを思い出し、近所の大型ショッピングモールに足を向けた。 「あーー……仕事用の靴も買いたいし、夏服も買いたいなぁ」 周りに聞こえない程度…

”過”消化

人間は日々成長するものだという。 生物学的にはその言葉に概ね偽りはないだろう。 生まれ、育ち、老い、死ぬ。 死が人間の成長の終着点と考えるならここに停滞の余地はなく、日々誰しもが終着点に向けて歩みを進めているのだ。 では、”成長”という計測器は…

2022年2月21日 晴れ

時刻は夕暮れに差し掛かっている 自分が大人になったという自覚はないまま、研修という名を借りた事実上の仕事に勤しんでいる お金がない、ということで自らの時間が奪われることを私は良しとしない しかし自分が生きる為にはお金が必要で、それがないとこれ…

思い出は返らない

自分の心はまだ、校舎から見た夕暮れの景色を追っていて、大人になったなんて自覚もないまま、時間の残酷さを感じながら涙を流している。 大人になったという感慨があるのではなく 大人になってしまったという諦観がそこにはあって いつか来ると覚悟していた…

可視化されるゴールと待望される終焉

いつまでも終わりがない繰り返しの作業に ある日突然ゴールが見えると その日までのカウントダウンが 心做しか早くなるように感じる今日を過ごす さて、文には必ず句点があるが、長文にはここに読点が必要になるというのは、もの書きの基礎中の基礎である。 …

病状

後悔とは人間に科せられた原罪の枷である 誤りと謝りの歴史は連綿と繰り返され 過ちと誤ちの積載はバベルの塔を建てる 人にはそれぞれの塔があり 積めば積むほど景色は見え 積めば積むほどに自らは堕ちるのである また智を知らんとするものは 己は大穴の中心…

暮れ枯れ

救いとは何か という題目があったとして、そこに夢を描く人はどれくらいいるのだろう 世の中はマルかバツ、零か百しかなくて 世界のルールはそうやって決まっていると信じていた 水滴が落ちて墨が薄まるように消えていった思想の切掛を覚えているか 「変わり…

俯瞰焦点

生命線が短い、と指摘されたことに腹を立てたことはない。 自分の寿命が手の皺ごときで決まるわけがないと思っているからだ。 今まで社会に反しないように生きていた。 出る杭は打たれる、異端は処される。 尖った気持ちをひたすら丸くした。 心はいつも穏や…

日記2020年6/13 雨

久しぶりに雨が降った。 この日は朝から心地が良かったので、記録を残しておこうと思う。 一日を通してずっと家にいたが、外から聴こえる雨音と、ほんのりと下がった気温、雨の匂い、程よい湿度をよく覚えている。 画面と向き合って終始作業に(それしかして…

春過ぎ夏ウツリ

芝を踏む音に耳を傾ける時期となりました。 我が家から少し散歩をすると、郊外とは思えぬような長閑さを持った自然の原風景を眺めることが出来、それはまるで田舎に帰省でもしたのかと疑う程の自然の多さに心に穏やかさが拡がります。 それはまさに柳暗花明…

事象の地平線

補遺 世界を目視出来てしまったあなたへ お気付きになられたと思いますが、貴方が目撃したそれこそが紛れもなく、飾りもない真実でございます。 貴方が今まで感じてきた日常とは、造られた夢現の微睡みの中にある、枯れゆくも停まっている花弁を眺めているよ…

毒喰らえ

正しい言葉を紡げないから 正しい決断をいつまでも出来ずにいる 昨日の僕よりも腐敗した今日の俺 言葉は猛毒だ

望みと諦めのはなし

思い募る言葉は数あれど、それを書き記さんと手を動かすと、微睡みの中で見た夢のように思い出せないのは何故だろう 今まで自分が築いてきたように感じているものは、自分が思い募らせ積み上げた言葉のように曖昧模糊としていて、判然としない記憶の中のもの…

2月24日 21時35分

皆様、こんばんは いま私は深夜のアルバイトに向かっております。 業種は言えません。働くことは胸を張れることではないと思っているので、そこには触れないでいただきたい。 さて、「貧乏」というのは、振りほどいて逃げ切るのにとても苦労するもので、私は…

充足という名の毒

生きるとは毒を飲み続けるということと同義に思う 意識を持ち、理性を持ち、感情を持つ私は、生とか苦とかいう概念に日々翻弄され続けている 苦を得ることで生を意識し、 生を実感するために苦を得、 それらをどうしようも無いと諦観しているのだが、 誰しも…

若きへの遺文

大人になりたくない 最後まで希い、遂に叶うことの無い望みだった 否、「なりたくない」のではなく「同じに見られたくない」が正しいだろう 私が今まで見てきた大人が限定的なものなのかもしれないが、私の中にある大人のイメージはごく簡潔に言うならば「愚…

言葉は薄情だ

愛を歌うことなんていつだってできる。 でもその愛を誰か、自分の本当に愛する人に向けることはそうそうできることではないのだろう。 虚しさは自分が満ち足りていない証拠だ。 自分が浅ましい欲の塊でしかない証左だ。 身近な誰かに押し付けて満足するなん…

酩酊した意識の中で

陶酔には2種類がある。 自己に酔うことと自己が酔っている自覚を持つことである。 前者は文字通りの酩酊 良く飲み、良く酔い、良く眠る。 或る人は自己の弱さに酔いを敵にしてしまうが これはこれで、泥酔の一種であり、 酩酊してることに変わりはない 悪く…

短編「囁き」

「命を可視化するなら人生は一冊の本に収まるか?」 僕の隣に佇む幽霊が、いつもそう問いかける。 こいつは見えない。 周りはこいつの存在に気づいていないようだし、俺には見えるそいつは、地面から明らかに浮いている。俺も見えないフリをしていれば、その…

秋の夜長に、酸素で充ちた肺を潰す

冷たく心地良い風というものは自ずから得に行くものではなく、心が満たされる瞬間に迎え入れてくれる世界の有り様だ。 秋の夜長は、誰をも等しくその心地良さを齎す。 明日晴れるとふと憂いた少年の背中に、秋は本当に欲しいものを与え続ける。 フローリング…

葦を噛み潰せ

演者はあなたと僕と私と俺 夢を買った灰色の亡者に敬礼を捧げよ 金を捨て海に飛びこんだ小太りの中年男どもには罵声を浴びせ、海から出してはならない 私は風化した都市の草原を踏もう 僕は全てを奪われたシャッターだらけの商店街を歩こう 俺は風俗街の底辺…

夏が過ぎ、秋の涼しさが顔を出し始めたこの日々に感じるものはなにもない。 否、ないわけではないが、それは私の触れていいものでは無いのだ。 孤独は埋められない 少し居眠りをして、雨音に目を開けた。 雨音が織り成す変奏曲は、僕を人間の喧騒から遠ざけ…

夢、ひとつめ

「マウスはいりませんか」 すこし嗄れた男のものの声が、路上に響く。 その男は赤い頭巾を被っており、目元は見えないが、その立ち居振る舞いが美麗な青年であることを示している。 しかし、そんな男の声に耳を傾ける者も、男の姿に目を奪われる者もいない。…

忘れものは拾えない

晩夏の夕焼けに目を眩ませた。 遠い、遠い数日間の記憶はきっと夢になる。 笑えない思い出のひとつがまた増えてしまった。 もうすぐ秋になる。 段々と冬の呼吸が、冷たさを孕んだ真白な着物たちが私を包み込んでいくのは、寂しさも優しさも同居させたような…

夕暮れ、車窓の向こうを見る

嵐の前触れのような黒々とした空を見ていた。 この空模様は一過性のもので、明日の朝にはまた綺麗で澄んだ青空が広がっているのだと、天気予報は告げた。 空にすら劣る私の心象は、曇り淀み続けてどれくらい経ったのだろうか。 明日に希望を持つことに嬉々と…

熱の中、思う

人になりたかった 朝起きて、出かけ 友と他愛ない話をして 快い疲労感を背負い 家に着いて 温かい食卓を囲み 身体を癒す湯を浴び 微睡みに身を委ねて朝を待つ こんなことでよかった 世界はもっと単純だと思っていた 自分の中にある漠然とした未来の私は 笑顔…

冷感

血管を冷やせば、自分のなかの憤りも冷めると思っていた。 冷静になればなるほど、募るのは人の卑しい部分を見つけてしまう自分がいる。 嫌な部分を見つけては、憤り、冷めて、また見つけ、憤り、冷める…を延々と繰り返している。 頭の中では、わかっている…

間違いしかない

当たり前の日々を過ごしているこの日常が嫌いだ 「人間」という言葉に違和感を覚える 確かに私たちは霊長類ヒト科ヒト目で、同種の生き物だ。生まれ、育ち、老い、死ぬという生の奔流には逆らえない でもその思想は様々だ。生まれた場所、育った環境…生きて…

疲弊帰路

満員電車の中、誰ともわからない足がまた僕の足の甲を踏みつけた。 そちらを見ると、手元のスマホに夢中なOLだった。 こちらに見向きもせず、謝りのひとつも入れない姿を見て何も感じない自分に、何度目かの疲れを自覚した。 人と話さないために倉庫の単発バ…

巨影 虚栄

1人でも生きていける 辛くない苦しくない怖くない 1人は怖くない 言い知れぬ漠然とした未来が押し寄せて 僕の頭の中をぐるぐるに掻き混ぜる 僕は精一杯足掻く 足をばたつかせて顔を水面に出して息をする 溺れてるようにも見えるけどこれは泳いでいる 襲いく…