夕暮れ、車窓の向こうを見る
嵐の前触れのような黒々とした空を見ていた。
この空模様は一過性のもので、明日の朝にはまた綺麗で澄んだ青空が広がっているのだと、天気予報は告げた。
空にすら劣る私の心象は、曇り淀み続けてどれくらい経ったのだろうか。
明日に希望を持つことに嬉々とした表情を浮かべることは、いつの間にかできなくなっていた。
不確定で不確実な未来に対して期待をするほど、今の私は身体を引き裂くような叫びを耳の中に閉じ込めた。
音楽を聴くと心が落ち着くのは、自分の身体と心を傷つけながら癒すことができるからなのかもしれない。
身体の一つ一つを削るように、自分の心と個性を剥がしていこうとする。
瘡蓋は重荷で、剥けば自分は身軽になっていくと思っていた。
隠していた傷が再び垣間見得るが、そんな痛みは気にしない。
……気にするほどの余裕がないのかもしれないが。
私に残っているものはもう殆ど、残っていない。この肉体とこの精神は抜け殻となりつつあった。
命を特性と個性で包むのは、自分を自分たらしめるために育んでいかなければならないものだったんだと、今更ながらに気付かされる。
至るのが遅すぎた。
やり直しなんてきかない現実に打ちのめされた私は、これからどこに進んでいくのだろうか。
不確定な未来に希望なんてないが、同時に不安も絶望もない。
あるのは虚無と、諦めになっていた。
なにも無いのと同じだ