熱の中、思う
人になりたかった
朝起きて、出かけ
友と他愛ない話をして
快い疲労感を背負い
家に着いて
温かい食卓を囲み
身体を癒す湯を浴び
微睡みに身を委ねて朝を待つ
こんなことでよかった
世界はもっと単純だと思っていた
自分の中にある漠然とした未来の私は
笑顔じゃなかった
夏は青春の香りがする
心の底から蔑みたくなるような、甘ったるい菓子をたくさん食べたような
そんな、お腹いっぱいの気分になる
それで気分が満たされることはなかった
いつまでも自分の中に蟠る
名前のないたくさんの出来事が
私の足元から腕のように延びて絡みつく
もっと楽に生きたかった
くだらないことで笑えてるやつを軽蔑してたのは
そこに嫉妬心があったからなのかもしれない
もっと軽薄になりたかった
明確な夢を持ってそこに無我夢中で突っ走る
あいつらを眩しく感じた
そんな夢を見た
目を覚ました私は、虚空に手を伸ばしていた