俯瞰焦点
生命線が短い、と指摘されたことに腹を立てたことはない。
自分の寿命が手の皺ごときで決まるわけがないと思っているからだ。
今まで社会に反しないように生きていた。
出る杭は打たれる、異端は処される。
尖った気持ちをひたすら丸くした。
心はいつも穏やかだった。
理不尽は仕方ないと諦められた。
今までに悪いことなんて1度もしてこなかった。
嘘を吐いたのは、母の日に作ってあげたパンケーキを一切れ多く食べたのを、誤魔化した時だけだった。5歳の時だった。
悪心を出すことは自分の弱い部分を出すことだと学んだ。人との関わりで悪心を出さないことに苦慮した。うまくやれるようになるまで、そう時間はかからなかった。
幸福もなければ、不幸もない
そんな人生を謳歌していた。
それで良いと思っていた。
仰向けに寝転んでることに気づいた…
どこに?地面はとても固い、まるでコンクリート
嗚呼、神様
私の人生は一体なにがいけなかったのでしょうか。