若きへの遺文
大人になりたくない
最後まで希い、遂に叶うことの無い望みだった
否、「なりたくない」のではなく「同じに見られたくない」が正しいだろう
私が今まで見てきた大人が限定的なものなのかもしれないが、私の中にある大人のイメージはごく簡潔に言うならば「愚者」のそれである
それ以上言葉を連ねるなら、その罵詈雑言はゆうに万を超えるのでここで止めておく
少なくとも彼らの賢いさまを見たことは無い
……「狡賢い」ならあるだろうが
さて、私はもう間に合わない
同一視されないようにするのに時間をかけ過ぎたし、省みれば怠慢に溺れた後悔塗れの青春だった
なので後進に継ぎたい、老婆心であるが伝えたい
心の隅にでも記憶してくれれば重畳である
「大人よりも大人であれ」
心を育てることは、勉学よりも優先されるべきことであり、人が人として生きていく上での至上命題であるとここに断言しよう
自身の中に根付く理性と感情を研磨せよ
この世界は君たちのものだ
世界を見、聞き、触り、握り掴め
苦言を呈す愚か者共には唾を吐く価値もない
嘲笑ってその先へ進め
君が望む死に様を描け
祝え
世界は君たちのものだ