望みと諦めのはなし
思い募る言葉は数あれど、それを書き記さんと手を動かすと、微睡みの中で見た夢のように思い出せないのは何故だろう
今まで自分が築いてきたように感じているものは、自分が思い募らせ積み上げた言葉のように曖昧模糊としていて、判然としない記憶の中のもので
もしかしたら本当は自分が得たものなんて何も無いと
それはまるで餌を求める鯉にも見えよう
虚ろな目をして空を食んでいる、まさしく空虚な自分こそが深層であり、然してそれが真実なのではと都度考える
何も成し得なかった
進んできた道の後ろには後悔が積み重なって、追手を通さんとばかりに、私の心の中に壁を築くのだ
どこで間違えたと口に出しては見るものの
振り返れば塞がった後悔に塗れた自分の醜態と向き合うことになる
未だに恥を捨てきることのできない自分が
それは厭だと駄々をこねる
気の弱い自律心はそれに同調して私の理性と現実に振り向かせまいと必死で捲し立てる
もう少し、もう少しだけ進めば何かあるかもしれない
何かが眠っているかもしれない
土壌の中には種のひとつも埋まっていないというのに、純真無垢な理性はその根拠の無い言葉を鵜呑みにする
心の隅では解っている
どこまで掘り続けても何もないと
どこまで手で搔こうとも何も見えないと
それでも、一縷にも満たない希望に縋り付く
感情はひとつだけじゃなくて、沢山の糸が絡んで解けない
ひとつは諦観
もうひとつは希望
またひとつは疲弊
絡み合った糸から生まれたごちゃごちゃの毛玉のようなものが、人の感情なのだとしたら
私のそれは些か矮小に、人より醜く見えることだろう