巨影 虚栄
1人でも生きていける
辛くない苦しくない怖くない
1人は怖くない
言い知れぬ漠然とした未来が押し寄せて
僕の頭の中をぐるぐるに掻き混ぜる
僕は精一杯足掻く
足をばたつかせて顔を水面に出して息をする
溺れてるようにも見えるけどこれは泳いでいる
襲いくる言い知れぬ未来と
なにもしなくても消えていくお金と
無駄にできないはずの時間も
僕を苛むんだ
心底怖い怖いよ
でも怖がってちゃダメなんだよ
嫌なことから目を逸らしてても
それは寄ってくるし首を締め上げてくる
苦しいだろ
辛いだろ
もう楽になれよ
簡単だよただ逃げるだけだ
悪魔の囁きだ
どこに逃げるって言うんだ
天変地異は助けてくれない
どんなに夢想したってその夢は叶わない
きっかけもない
生きるための力は充分にあるのに
目の前の自分のなかの世界すら守れない
できないよ
なにもできないんだ
悪魔が囁いても天使が嘆いても
僕は救われない
あの時こうしていればとか
あの時ああしていればとか
そんなこと考えたことはない
後悔はしない
悔やんでも悔やみきれないことばかりだからだ
理不尽はいつも唐突だ
幸せが尽きたら今度はそいつの未来を搾取するんだ
もうおしまいかな
残ったものは諦観だけだった